障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)をもとに運営される障害福祉サービスは、障害者の生活や就労への支援ニーズを踏まえて3年に1度、法改正が行われます。
先日、令和6年4月からどのような点が改定されるのか、詳しく見ていきましたが、その最新として、令和6年2月6日(火)に報酬改定の概要が厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームより、新設の減算「業務継続計画未策定減算」について発表されました。
令和3年度の報酬改定にて、業務継続計画(BCP)の策定が義務付けられていましたが、令和6年度の報酬改定では、いよいよ減算の発表がありました。今回はそんな「業務継続計画未策定減算」について詳しく見ていきたいと思います。
■業務継続計画未策定減算とは?
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な障害福祉サービス等を継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症又は非常災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算します。
【条件】
以下の基準に適応していない場合、所定単位数を減算します。
- 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定すること
- 当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること
【対象事業者】
全障害福祉サービス
■所定単位数の3%を減算
療養介護、施設入所支援(施設入所支援のほか、障害者支援施設が行う各サービスを含む)、共同生活援助、宿泊型自立訓練、障害児入所施設
■所定単位数の1%を減算
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、生活介護、自立生活援助、自立訓練(宿泊型自立訓練を除く。)、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、就労選択支援、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援、障害児相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援(障害者支援施設が行う各サービスを除く)
参照:厚生労働省 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)
■いつから減算が適用される?
令和6年4月からと適用開始します。
詳しくは、指定権者からの連絡をご確認ください。
【経過措置】
- 令和7年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」及び「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合には、減算を適用されません。ただし、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、自立生活援助、就労定着支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、計画相談支援、障害児相談支援、地域移行支援、地域定着支援については、「非常災害に関する具体的計画」の策定が求められていないこと等を踏まえ、令和7年3月31日までの間、減算を適用されません。
- 就労選択支援については、令和9年3月31日までの間、減算を適用しない経過措置が設けられます。
■業務継続計画(BCP)とは?
BCP(ビー・シー・ピー)とは Business Continuity Plan の略称です。企業が自然災害、大火災、テロ攻撃など不測の事態が発生しても、事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことです。
■障害者総合支援法とは?
障害福祉事業は、法律に則って、行政の認可のもと行う事業です。
その基となる障害者総合支援法は、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」の整備により2013年に制定されました。
【目的・基本理念】
目的規定において、「自立」という表現に代わり「基本的人権を享有する個人としての尊厳」と明記され、障害者総合支援法の目的の実現のため、障害福祉サービスよる支援に加えて、地域生活支援事業その他の必要な支援を総合的に行う。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は新たに新設された「業務継続計画未策定減算」について詳しく見てきました。
どのような変更点があるのか、厚生労働省・指定権者からの通知は漏れのないよう、逐一チェックをしていきましょう!
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