障害者グループホームって儲かるの?報酬単位とモデル収支から見る障がい者グループホーム事業

コラムそのほか

福祉事業は行政からの給付で運営される、安定した事業です。そんな福祉事業は実際儲かるのでしょうか?

今回は、障害者グループホームの報酬単価やモデル収支を見ながら、障害者グループホームがお金の観点でどのように成り立っているのか、詳しく見ていこうと思います!

障害福祉事業の予算

障害福祉サービス関係予算額は15年間で約3倍に増加していることが、以下のグラフから読み取れます。

障害福祉予算は、国の負担が50%、自治体負担が50%という仕組みになっております。下記のグラフは国の予算を示しており、この中に、自治体負担額は含まれていないので、この約2倍の額が、障害福祉事業の総給付費となります。

障害福祉事業の予算

参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001078142.pdf

 

障害者グループホームの報酬単価

報酬の計算方法

単位数×地域ごとの1単位の単価(地域区分)=報酬の総額

基本報酬の単位(2021年~)

障害者グループホームには、3つの類型があります。

・介護サービス包括型

介護サービス包括型 単位

 

・日中サービス支援型

日中サービス支援型 単位

 

・外部サービス利用型

外部サービス利用型 単位

 

地域ごとの級地単価(2021年~)

1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 6級地 7級地 その他
共同生活援助 11.6円 11.28円 11.2円 10.96円 10.8円 10.48円 10.24円 10円
地域区分 地域
1級地 東京都23区
2級地 ・東京都:町田市、狛江市、多摩市
・神奈川県:横浜市、川崎市
3級地 ・埼玉県:さいたま市、和光市
・千葉県:千葉市、成田市、印西市
・東京都:八王子市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、調布市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、清瀬市、東久留米市、稲城市、西東京市
・神奈川県:鎌倉市
4級地 ・茨城県:牛久市
・埼玉県:志木市
・千葉県:船橋市、習志野市、浦安市、袖ヶ浦市
・東京都:立川市、昭島市、東大和市
・神奈川県:相模原市、藤沢市、逗子市、厚木市、海老名市
5級地 ・茨城県:水戸市、日立市、土浦市、石岡市、取手市、つくば市、守谷市
・埼玉県:朝霞市、新座市、ふじみ野市
・千葉県:市川市、松戸市、佐倉市、八千代市、市原市、四街道市、栄町
・東京都:羽村市、あきる野市、日の出町
・神奈川県:横須賀市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、大和市、伊勢原市、座間市、綾瀬市、寒川町、愛川町
6級地 ・茨城県:古河市、龍ヶ崎市、利根町
・栃木県:宇都宮市、下野市、野木町
・群馬県:高崎市
・埼玉県:川越市、川口市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、吉川市、白岡市、伊奈町、三芳町、宮代町、杉戸町、松伏町
・千葉県:木更津市、野田市、茂原市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ヶ谷市、白井市、酒々井町
・東京都:武蔵村山市、瑞穂町、檜原村、奥多摩町
・神奈川県:三浦市、秦野市、葉山町、大磯町、二宮町、清川村
7級地 ・茨城県:結城市、下妻市、常総市、笠間市、ひたちなか市、那珂市、筑西市、坂東市、稲敷市、かすみがうら市、桜川市、つくばみらい市、小美玉市、大洗町、東海村、阿見町、河内町、八千代町、五霞町、境町
・栃木県:栃木市、鹿沼市、日光市、小山市、真岡市、大田原市、さくら市、壬生町
・群馬県:前橋市、伊勢崎市、太田市、渋川市、玉村町
・埼玉県:熊谷市、深谷市、日高市、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、川島町、吉見町、鳩山町、ときがわ町、寄居町
・千葉県:東金市、君津市、富津市、八街市、富里市、山武市、大網白里市、長柄町、長南町
・神奈川県:山北町、箱根町
その他 1級地から7級地以外の地域

 

障害者グループホーム事業の報酬を増やす方法

障害者グループホーム事業の報酬を増やすには、先に説明した報酬構造の中の「算定する単位数」を増やすことです。

では、その単位数を増やすには、どうしたらいいのでしょうか?

 

①基本報酬が大きい、区分の高い利用者を入居させる

障害区分は、1~6まで存在し、区分1が軽度、区分6が重度とされている。障害の程度が重いと、障害区分が高く判定され、「障害の区分が重い=より手厚い支援が必要」とみなされ、その分、基本報酬が高く設定されている。

ただし、その分、区分が高く判定されている利用者を受け入れるためには、全職員のスキルの高さを求められたり、必要人員が増加したりと、事業所側の対応が必要となる。また、職員のスキルが伴っていない状態で、障害区分が高い利用者を受け入れてしまうと、職員側の負担となり、離職にもつながりかねない。

①の方法では、報酬の増加は見込めるものの、職員のスキルアップに要する時間や必要人員の増加による人権費支出増加も見込まれるので、現場の状況をよくみて判断する必要があるだろう。

 

②加算を取得する

障害福祉事業には、事業者へよりよいサービスの提供を促すために、事業者が一定条件を満たしたサービスを提供したり、特定の支援を必要とする利用者の要望に合わせたサービスを提供したりすると、基本報酬に加えて報酬を加算する仕組みがある。これを「加算」と呼ぶ。

障害者グループホームの加算には、以下のような種類が存在する。

  • 福祉専門職員配置加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)
  • 看護職員配置加算
  • 夜間支援体制加算(Ⅰ)~(Ⅵ)
  • 夜勤職員加配加算※日中サービス支援型のみ
  • 重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 日中支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 自立生活支援加算
  • 医療的ケア対応支援加算
  • 入院時支援特別加算・長期入院時支援特別加算
  • 帰宅支援加算・長期帰宅支援加算
  • 地域生活移行個別支援特別加算
  • 精神障害者地域移行特別加算
  • 強度行動障害者地域移行特別加算
  • 強度行動障害者体験利用加算
  • 通勤者生活支援加算
  • 医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅶ)
    • ③減算を発生させない

      ②で加算の説明をしたが、その反対に、障害者総合支援法で規定されている運営基準や人員基準、設備基準を守っていない場合、報酬から決まった単位数を引かれてしまう場合がある。これを「減算」と呼ぶ。

      障害者グループホームの減算には、以下のような種類が存在する。

      • 大規模住居等減算
      • サービス提供職員欠如減算
      • サービス管理責任者欠如減算
      • 個別支援計画未作成減算
      • 身体拘束廃止未実施減算

      モデル収支(開設後の収支)

      条 件 :介護サービス包括型 地域区分3級地 28名居室を運営

      利用者 :区分23名・区分33名・区分42

      実 費 :家賃(1居室)42000/月 日用品費5000/月 水光熱費15000/月 食費25000/月 通信費500/

      ※利用者負担額で利益を出せないため、収支はイコールとなるよう設定

      人 員 :管理者兼サビ管(常勤)30/月 世話人・生活支援員(非常勤)1000/時 夜間職員(非常勤・各棟配置)1250/

      取得加算:夜間支援等体制加算(Ⅰ)、医療連携体制加算(Ⅶ)、福祉専門職員配置加算(Ⅰ)、処遇改善加算(Ⅰ)

      モデル収支

       

      報酬単位とモデル収支まとめ

      このように、報酬の仕組みを理解して、報酬単位を重ねていくことで、十分に利益が見込める事業であることが分かったのではないでしょうか?

      モデル収支にあるような条件を満たせば、開設から1年で440万程度の営業利益も見込める可能性も!!ただし、上記のような要因にずれが生じた場合、収支も見直す必要がありますので、しっかりと収支計画を立てたうえで運営していきましょう。反対に、開設棟数を1年でより多くする、居室数をより多くする場合、これ以上の営業利益を見込める可能性もあります。その場合、人員基準も居室数に合わせて変動しますので、注意が必要です。

      また、別記事「障害福祉事業のお金の仕組み💰」でも記載をさせていただきましたが、非常に倒産率の低い事業でもあります。これらの要因から、大幅に儲かる事業ではないにしても、かなり安定性の高い事業といえるでしょう。

      その点しっかりと考慮したうえで、是非、新たな事業を始める際には1つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか?

       

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