今回は、加算コラム第1弾、第2弾に引き続き、第3弾として、「看護職員配置加算」に注目して解説していきます!!
■看護職員配置加算とは?
看護職員配置加算とは、看護職員を手厚く配置している共同生活援助(グループホーム)事業所を評価する加算をさします。
【加算単位数】
70単位/日
※単価表参照:厚生労働省p.38~ https://www.mhlw.go.jp/content/000759623.pdf
■どんな要件を満たせば取得できるの?
①共同生活援助(グループホーム)事業所において配置が必要な基準人員に加え、看護職員(看護師、准看護師、保健師)を常勤換算で1.0以上配置していること
②日常的な健康管理等を実施
③利用者数(前年度の平均利用者数)を20で除した数以上の看護師を配置していること
※複数の共同生活住居を有するグループホームについては、②の条件に要注意!!
要件①常勤換算とは?
1ヶ月(4週間)を基本とし、従業員の勤務時間をすべて足した時間が、常勤の従業員が勤務したとして「何人」になるかを計算したものです。
例えば、看護職員の配置が常勤換算1以上必要とされる場合を見てみましょう。その場合、下記条件では、看護職員配置基準を満たしているといえるのでしょうか?
【例題条件】
・看護職員Aは月に100時間勤務
・看護職員Bは月に80時間勤務
・事業所で定める常勤の勤務時間は、4週160時間
この条件の場合、上記に記載したように、従業員の勤務時間をすべて足した時間が、常勤の従業員が勤務したとして「何人」になるかを計算してみましょう。
まず、従業員であるAさんとBさんの勤務時間を足します。
100+80=180時間
次に、この時間数が常勤の従業員が勤務した場合、何人分の時間数になるのか割り出します。
180時間÷160時間(事業所で定める月の常勤勤務時間数)=常勤換算1.125
そうすると、常勤換算1.125となりますので、看護職員の配置は常勤換算1以上を満たしている、といえます。
要件②日常的な健康管理等とは?
看護職員を配置し、さらに、下記内容の支援を看護職員が共同生活援助(グループホーム)の利用者へ、提供する必要があります。
①利用者に対する日常的な健康管理
②医療ニーズが必要な利用者への看護の提供等
③定期または緊急時における医療機関との連絡調整および受診等の支援
④看護職員による常時の連絡体制の確保
⑤重度化した利用者の対応に係る針の作成および入居時における利用者または家族への説明並びに同意
要件③利用者数を20で除した数以上とは?
要件①で、常勤換算1以上の看護職員を配置した場合に看護職員配置加算を算定可能としておりますが、常勤換算1の看護職員が支援可能な範囲として、利用者人数に上限が設けられております。
それが、20人までなのです!
では、事業所の平均利用者数の人数が20人を超えた場合、看護職員は常勤換算でどれくらい配置しなければならないのでしょうか?こちらも例題を使ってみていきましょう。
【例題条件】
・事業所の前年度平均利用者数が25人
・事業所で定める常勤の勤務時間は、4週160時間
まずは、平均利用者数を20で除します。
25÷20=1.25
つまり、平均利用者数が25人の事業所で看護職員配置加算を取得するには、常勤換算1.25の看護職員を配置する必要があります。
では、常勤換算1.25だと、看護職員の配置時間数は月に何時間必要となるのでしょうか?
常勤換算1.25×160時間(事業所で定める月の常勤勤務時間数)=200時間
このように、月で必要な配置時間数は、事業所の平均利用者人数が20人を超える場合、平均利用者人数に応じて配置時関数に差が生まれてきます。
要件④加算算定方法
事前の届け出が必要な加算です。変更届の場合は、変更となる月の前月15日までに、必要書類を提出しましょう。
【提出書類(東京都の場合)】
・変更届出書(変更届の場合)
・付表7
・体制等状況一覧表
・加算届出様式
・資格証の写し
・重度化対応の指針
・勤務体制表
■看護職員配置加算を取得する際に気を付けることは?
看護職員配置加算の算定対象となる共同生活援助(グループホーム)については、医療連携体制加算(Ⅵ)のみ、看護職員配置加算を取得していても、要件を満たせば算定することが可能ですが、医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅴ)及び(Ⅶ)との併用は不可となります。
ですので、事業所として、どの加算を取得したほうが事業所としてメリットなのか、共同生活援助(グループホーム)の利用者にとってメリットなのかをよく判断し、取得する加算を検討していきましょう。
■看護職員配置加算についてのQ&A
Q1:看護職員配置加算は、指定事業所単位で、常勤換算方法により1人以上を配置すれば、すべての利用者に当該加算を算定できると解してよいか。例えば、複数の共同生活住居を1つの事業指定を受けて運営する場合、全ての利用者に70単位/日が算定されると解してよいか。
A1:看護職員配置加算は、専ら共同生活援助事業所の職務に従事する看護職員を、常勤換算方法で1人以上配置する場合に、利用者全員に算定することが可能である。
ただし、複数の共同生活住居を有する場合は、適切な支援を行うための人員を確保する観点から、常勤換算方法により、看護職員の員数が1以上かつ利用者の数を20で除して得た数以上の看護職員を配置するものとする。
Q2:医療的ケア対応支援加算と看護職員配置加算は併給することはできるか。
A2:併給することが可能である。
※参照:厚生労働省Q&A https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/qa.html
■まとめ
加算コラム第3弾!「看護職員配置加算」については、ご理解いただけましたでしょうか?
重度障害の方や、精神障害の方にとって、グループホーム選びの際に看護職員がいるかどうか、選択の際の重要な要素となります。
中でも、精神障害の方は近年増加傾向にあり、さらには病院から地域への移行を求められています。事業所として、看護職員を配置することにハードルを抱えている事業所も少なくないかと思いますが、是非、看護職員を雇用した際には、こちらの加算も取得可能か、可能であればしっかりと届け出をして加算取得を目指していきましょう!
ただし、看護職員配置加算取得時の注意点でも挙げたように、この加算を取得することで、医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅴ)及び(Ⅶ)を併せて請求することはできません。
事業所やその事業所に入居している利用者さんの状況を鑑みて、どの加算を習得していくべきか、しっかりと検討していきましょう。