ペーパーレスが求められる昨今、障害福祉事業のICT化は進んでいるのでしょうか?
また、ICT化を進めるために、行政はどのような取組をしているのか、この記事で詳しく見ていきたいと思います!!
■事業開始のための指定申請時に必要な書類一覧(東京都資料参照)
一覧以外にも、実際に行う予定の研修資料を一通り紙媒体にて提出するよう求められたり、使用予定の運営書類の提出を求められたり、場合によっては、その他事業所に見学や研修を行った際の報告書も紙媒体で提出するよう求めてきたりと、かなりの量の紙媒体を使用します。
また、下記一覧に関しては、完成前のものも印刷して紙媒体にて行政に提出する必要があり、複数回書類の修正を重ねるため、ここでもかなりの量の紙媒体を使用して申請を進めていきます。さらには、行政に提出した書類と同じものを、副本として事業所にて保管する必要があるため、これらを複数セット印刷する必要があるのです。
■事業運営指示に必要な書類
・運営規定
・重要事項説明書
・利用契約書
・事業所パンフレット
・サービス提供記録
・個別支援計画等
・苦情解決に関する書類
・衛生管理に関する書類
・非常災害に関する書類
・協力医療に関する書類
・事故発生時の対応に関する書類
・研修に関する書類
・会議に関する記録、業務日誌
・会計経理に係る書類
・虐待防止関係書類
・各種加算算定要件に係る書類
■請求時に必要な書類
・訓練等給付費等請求関係書類
・サービス提供実績記録表
・利用料等請求書・領収証
・法定代理受領通知書
・受給者証
■実地指導時に必要な書類一覧(東京都資料参照)
指定申請時に必要な書類、運営に必要な書類、請求に必要な書類に加え、人員関係のシフト・出勤簿・履歴書・資格証明書を、
期間:実地指導実施日の年度の書類+前年度1年分の書類
上記期間分すべてを用意する必要があります。
運営帳票類や請求に関する書類は、システムが作成され、システム内で処理ができるようになっておりますが、一部書類は、印刷して、事前に東京都の担当部署まで返送の必要があり、それ以外の書類は、実地指導当日、紙媒体で提出が求められることが多いです。(一部データでの提示も可能ですが、基本的に紙での提出を求められます。)
また、その後の行政からの指摘事項は手書きの書類で届いたり、行政の指摘事項に基づいて事業所が作成する改善報告書も紙での郵送を求められたりと、障害福祉事業のやり取りは紙媒体がメインとなっていることが分かります。
■ICT導入に関する支援予算
障害福祉分野におけるICT・ロボット等導入支援 5.2億円
障害福祉分野における業務効率化及び職員の業務負担軽減を推進しながら、安全・安心な障害福祉サービスを提供できるよう、障害福祉サービス事業所等におけるICT・ロボット等の導入を支援する。
参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/23syokan/dl/gaiyo-14-1.pdf
■ICT補助金具体例(大阪府)
(1)補助対象事業者:大阪府内で障がい福祉サービス等の指定を受けている施設・事業所
(2)補助対象となるICT機器等
ア 情報端末(タブレット端末・スマートフォン等ハードウェア、インカム)
イ ソフトウェア
ウ 通信環境機器等(Wi-Fiルーターなど)
エ 保守経費等
(クラウドサービス、保守・サポート費、導入設定、導入研修、セキュリティ対策等)
(3)補助対象経費:設置に係る工事費、機器等の備品購入費等のICT機器等導入に必要な経費
(4)補助金交付額:1事業所あたりICT導入に係る費用(上限100万円)のうち3/4を補助する
■まとめ
行政としては、障害福祉事業のICT化を推し進める助成金が用意されている一方で、申請や事業所の記録、実地指導時の準備書類は、基本的に紙での提出を求めていることが、こちらで読み取れるかと思います。
上手にICTを活用しながら、事業所として必要な記録をしっかりと残していけるように、システムとのすみわけが必要とされているのが現状です。
このようにみると、障害福祉事業のICT化はなかなか進んでいないように見えますが、研修のシステムや予約システム、申請システムなど、インターネットを活用した取り組みは進んできてはいます。ただ、周囲の業界と比較すると、比較的、遅い進捗となっているように感じます。
更なる障害福祉事業のICT化に向けて、弊社しょーあっぷも進化して、行政への交渉も進めながら対応していくことで、障害福祉事業の大きな変革となることを期待しております!