障害福祉事業は行政から許認可を受けて行う事業です。そのため、運営にも様々なルールが存在し、必ず作成をしなければならない書類や、必要項目が存在します。
利用者ごとに作成が必要な書類の中に「個別支援計画」が存在します。各利用者がどのようになりたいのか、何ができるようになりたいのかをヒアリングし、その目標を実現するための計画書となります。また、この書類は、職員が利用者支援を行うにあたって指標となる書類でもあります。この「個別支援計画」とは、どんな書類なのか、詳しく見ていきましょう。
■個別支援計画とは?
個別支援計画とは、障害福祉サービスを提供する事業者が利用者一人ひとりに合わせた支援を計画した書類です。
個別支援計画がなければ、障害福祉サービスを提供することができないため、障害福祉サービスでは必要不可欠な書類です。
また、作成された内容で問題ないか、利用者に確認してもらう必要があります。作成後は必ず利用者・保護者へ説明を行い、確認印とサインにて同意をもらい、交付します。
■個別支援計画の必要項目
共同生活援助における個別支援計画は、定められたフォーマットはありませんが、指定権者によってはフォーマットを提示している場合がありますので、そちらを参考に作成を行いましょう。
またフォーマットは定められていないものの、利用者が障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを受けるためには、障害福祉サービス事業者が利用者ごとに個別支援計画を作成すること、個別支援計画に基づいて支援を実施することが義務付けられています。
・本人と家族の思いを把握する
本人と家族の希望を聞き取り、個別支援計画書に記載します。事前に相談支援専門員が作成する「サービス等利用計画」を確認し参照したうえで聞き取りを行うと、織具体的な内容が記載された個別支援計画書が作成できるでしょう。
・到達目標を設定する
長期目標と短期目標を設定し、障害福祉サービスの目的を明確化します。長期目標は1年程度、短期目標は3-6ヶ月で達成できる内容を記載しましょう。
・具体的な支援計画を立てる
目標達成のために必要な具体的な支援内容と期間を記載します。実際に行う作業内容として、どのような作業をどれくらいの期間を予定して行うのか等具体的な内容を記載します。日々の生活での注意点や職員が行う支援内容も盛り込みましょう。
・事業所の支援方針を示す
事業所としてどのようなコンセプトを持って支援していくか、全体の活動のねらいと関係性などを記載しましょう。
このように、本人主体の思いを反映し、目標達成のための具体策を示した個別支援計画を策定することが重要です。
■個別支援計画作成までの流れ
図の下段部分が事業所がかかわる会議や作成する書類の流れとなっています。
個別支援計画は、利用者が障害福祉サービスを利用するまでに作成し、受け入れまでに整えておく必要があります。サービス利用決定から実際の利用まであまり時間がない場合も多いので、しっかりと工程を理解して慌てずに対応ができるように準備をしておきましょう。
前提条件
障害福祉サービスを利用したい場合、まずは利用したいサービスの「支給決定」を受けなければなりません。その支給決定を受けるためには、利用者が相談支援事業所に相談します。相談支援事業所にて担当の相談支援専門員が利用者のアセスメントを行い、「サービス等利用計画書(案)」を作成し、それをもとに障害福祉サービスの支給決定を市区町村に出してもらいます。
事業所側の動き
①「サービス担当者会議」への出席・議事録作成
相談支援専門員主体の会議です。障害福祉サービスの利用を希望する利用者と相談支援専門員と関係機関を踏まえた会議を行います。
②相談支援専門員が作成する「サービス等利用計画書」を受け取る
事業所での支援計画は、あくまでも相談支援専門員が作成する障害福祉サービス全体の計画書をもとに作成します。必ずアセスメント前には事業所として受け取るようにしましょう。
③事業所として利用者に対して「アセスメント」を行う
①②の情報を確認したうえで、利用者に対してアセスメントを行いましょう。その際にフェイスシートの作成を併せて行うといいでしょう。
④「個別支援計画の原案」を作成
③をもとに、サービス管理責任者(みなしサービス管理責任者でも可)が個別支援計画の原案を作成します。
⑤「個別支援会議」を実施・議事録の作成
④をもとに個別支援計画の支援内容について協議します。2名以上の職員が参加し、作成者のみの偏った意見となっていないか、客観的な意見を出し合い、より良い支援計画となるよう協議します。
⑥「個別支援計画の本案」を作成
④⑤をもとに、個別支援計画の本案をサービス管理責任者が作成します。このとき、みなしサービス管理責任者が作成することはできません。
⑦利用者・保護者への説明、同意、交付
個別支援計画の内容を利用者・保護者へ説明し、同意を得たうえで交付します。
⑧「モニタリング」を実施
⑥で設定した到達目標に合わせてモニタリング時期も決定します。その時期に合わせてモニタリングを実施しましょう。最低でも6カ月に1度はモニタリングを行い、個別支援計画の内容を定期的に見直す必要があります。また、このモニタリングは相談支援専門員が実施するものとは関係なく、事業所として実施する必要があります。
⑨個別支援計画の見直し
モニタリングにより個別支援計画が修正される場合、④~⑥の手順を踏んで個別支援計画を見直しましょう。また、利用者の状況が変化している場合は、③のアセスメントから取り直して状況把握をしなおしましょう。
■個別支援計画のフォーマット
【原案・議事録】
【本案】
■しょーあっぷでできること
「個別支援計画」機能
グループホーム利用者の個別支援計画を管理します。
作成したデータはPDFの形にてダウンロードすることができますので、印刷も可能です。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「個別支援計画の作成方法」についてみてきました。
利用者が障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを受けるためには、障害福祉サービス事業者が利用者ごとに個別支援計画を作成すること、個別支援計画に基づいて支援を実施することが義務付けられています。この工程に抜け漏れがあったり、サインが漏れていたり、利用日より後に作成されている場合は、適切なサービスを提供されていないとみなされ、その分の基本報酬を返還ということもあり得ます。
なぜ個別支援計画が必要なのか、個別支援計画の作成手順はどのような流れで行われるのか、など、事業所としてしっかり理解しておくことが重要です。
しょーあっぷでは、運営に必要となる様々な書類を作成・管理することができます。日々作成が必要な「業務日誌」「サービス提供実績記録票」、月々で作成が必要な「利用者請求書・領収書」「国保連請求書・明細書」「代理受領通知書」、その他「個別支援計画に関する書類」「シフト表」「契約内容報告書」等々、必要書類をシステム上で作成・管理することが可能です。
利用者さんごとの料金設定の変更や棟ごとの設定・利用者管理、その他職員の管理も対応しているソフトですので、気になる方はお気軽に下記よりお問い合わせください。